みそや米菓の原料に使う、ミニマムアクセス(最低輸入量=MA)米の価格が上昇してきた。国産の加工用米の高騰と品薄で需要が増えたところに、コメ不足の地域へ向けてMA米在庫を供出する構想も浮上し、先行きの品不足感が強まった。安価な原料に頼ってきた加工業界には焦りの色が濃い。
農林水産省は加工業者向けの入札を毎月実施する。6月には2005年度輸入契約分の加重平均価格が11万2861円と前月に比べ8.6%上がった。入手可能な1番安い年度の比較では、1年前の03年度分より27%上昇した。
農林水産省が昨年から入札の予定価格を引き上げている。「国の財産である輸入米を安く売ることはできない」との立場から、MA米の価格を国産の特定米穀(規格外のコメ)並みに引き上げる方針だ。
特定米穀は稲作技術の発達などでここ数年、発生量が減少しており高値圏に張り付いたまま。対策として、加工業者はMA米の調達を増やした。昨年度までの2年間でみそ業界では使用量が2倍、米菓でも約2.2倍になった。
自給率39%の食料輸入大国にあって、コメは数少ない自給可能な農産物。外圧で輸入を義務づけられたMA米は需要がないため在庫が膨れあがり、ピーク時の2006年3月末には203万トンに達した。保管にかかるコストも問題視された。
このため農水省は輸入の米粉調製品から原料を切り替える業者には、MA米を安く販売して在庫処分に躍起になった。また06年度から飼料向けの販売を始め、今後も古い年度のコメは飼料向けに優先して供給していく方針。加工用に回る安価なMA米が減ることは必至だ。
今月の食料サミットで福田康夫首相は世界的な穀物需給の逼迫(ひっぱく)に対応し、MA米の在庫のうち約30万トンを放出する用意があることを表明した。品不足に拍車をかけそうで、「いつでも安く買える」と高をくくっていた加工業者には不安感が台頭している。
「もともと安く買ったものなのに、一方的な値上げはおかしい」と恨み節も聞こえる。ただ新興国の経済成長や人口増を背景に、安価な穀物が潤沢にあった平和な時代は終わりつつある。かつての「お荷物」の変質は、国際的な穀物需給の逼迫を物語る。