原油相場が青天井で上昇している。「投機悪玉論」がしきりに聞かれるが、マネーは値動きを増幅させているに過ぎない。原油が買われるのは理由があるからだ。問題は将来の供給不足懸念もさることながら、消費国に市況を冷やそうという姿勢が乏しい点にあるのではないか。マネーはそうした政策のスキにつけ込んでいるように思う。
消費国の政策で疑問に感じるのは国家備蓄放出に消極的なことだ。米国は同時テロ以降、戦略石油備蓄(SPR)の積み増しを進め、現在の在庫量は約7億バレルと過去最高水準だ。数%取り崩せば需給への影響はあるはずだし、取り崩しを示唆するだけでも市場心理への影響はあるはずだ。ブッシュ政権は備蓄積み増し停止を発表したが、放出には動こうとしない。
サウジアラビアを除く中東産油国の増産余力は乏しく、新興国の需要を抑えるのは難しい。米国や日本など先進国が原油高対策に動くべきなのに、備蓄確保にこだわり、かえって供給懸念を強めているようにみえる。
原油高の一因とされるドル安についても、米国がどこまで危機感を持っているか疑わしい。米国にとってドル安は輸入物価の上昇につながる半面、穀物や自動車の輸出促進につながる。貿易赤字縮小という側面も考えれば、ドル安をさほど深刻な危機と受け止めていないのかも知れない。
消費国の政治家からは、原油高について現状分析や責任転嫁の発言が目立つ。自ら本気で対策を示さない限り、市場になめられるばかりだ。