2012年4月23日月曜日

ファンドが仕掛けた天然ゴム高

自動車用タイヤなどに使う天然ゴムの相場が国内、海外ともに過去最高値圏で推移している。東京で起きた海外ファンドの仕掛け的な買いが、巡り巡って主産国タイの農家の原料売り渋りを呼び、供給不安をあおったためだ。

天然ゴム先物を扱う主要な商品取引所はアジアに2カ所ある。東京工業品取引所とシンガポール商品取引所(SICOM)だ。どちらもRSS3号が指標となっている。東工取市場は商品取引会社や海外ファンドなどが参加しており、流動性が高いのが特徴だ。SICOMは実需筋の参加が多いとされ、実際の需給環境を映しやすいとの見方がある。ただ、実際は同じ品目を上場しているため、裁定が働きやすく、どちらか一方がもう片方と大きく離れた相場を形成することは少ない。

今回の天然ゴム高騰を主導したのは東工取市場とされる。先高観を感じ取った海外ファンドが大量の買いを入れ、大幅上昇につながった。

海外ファンドが買いを入れた背景には原油価格の高騰がある。原油は代表的な国際商品であり上昇時には他商品への買いも入りやすい。また、天然ゴムの競合品である合成ゴムの原料でもあり、天然ゴムへの需要シフトが進むという連想を呼びやすい点で相場変動要因として影響力が大きい。

天然ゴムの相場は主産国タイが2月から4月に原料の減産期に入るため、毎年上昇しやすくなる。東京市場では買いが売りを上回るようになり、SICOM相場もこれに収束していく形で上昇していった。

これに派生して起こったのが産地農家の原料売りしぶりだ。実需ベースとされるSICOM市場でRSS3号相場が上昇したことにより、「天然ゴム原料の樹液も今後一段と高く売れる」との観測が広がった。

結果として減産期が明けても供給が増えない状況となり、東京では買いが加速。天然ゴムは東京とSICOMで高値サイクルを作り出したことになる。

ただ、農家はいつまでも売り渋りを続けていられるわけではなく、供給量は今後徐々に増える見通し。天然ゴム相場が足元で最高値圏でのもみ合いになっているのも、「そろそろ供給不安は払拭(ふっしょく)されるのでは」との市場の思惑が見え隠れする。アジアを舞台にした天然ゴム高騰劇はいったん終息を迎えつつあるようだ。